
高山荘 華野のレストラン「四季亭」に飾られている一枚の抽象画。
それは日本を代表する現代美術家・元永 定正(もとなが さだまさ)氏による作品です。
絵本作家としても知られる元永氏は、抽象表現の巨匠として国内外で高く評価され、ヴェネツィア・ビエンナーレへの出品や兵庫県立美術館での大規模回顧展、紫綬褒章の受章など、数々の輝かしい経歴を持ちます。
四季亭に展示されているこの作品は、館主の華道の師匠が選定した一枚。クリーム色のキャンバスに白地のシートを重ね、黒のフレームで仕立てたその作品は、どこか温もりと静けさを感じさせます。ラフに描かれたフォルムは、元永氏特有の「遊び心」と「ユーモア」に満ちており、抽象画でありながら誰もが直感的に惹かれる柔らかさを湛えています。
「掛井 五郎氏の版画作品」と並び、この作品もまた四季亭の空間を象徴するアートのひとつです。見る人の心の状態によって、見える形や意味が変わる不思議な魅力を持ち、華野が大切にする“花とアートの共存”というコンセプトを象徴しています。
華道家の師匠が選んだ額装は、作品の素朴な表情を損なうことなく、料理とともに流れる穏やかな時間に寄り添うよう設計されています。
有馬の自然と季節の移ろいを感じながら、食とアートが調和する空間で、心を満たす時間をお過ごしください。